ベンザリンの副作用は危ない、断薬時にも細心の注意を

ベンザリンとは

ベンザリン(一般名ニトラゼパム)は1967年に初めて承認を受けた睡眠薬です。ベンゾジアゼピン系の元祖ともいえる睡眠薬で、もう50年近くに渡って使われ続けていることも、安全性が高いことを裏付けています。

 

1967年に塩野義製薬から開発・発売されて以来、長く使われている薬です。病院で薬を処方してもらうときに「ロングセラー」であるということはチェックポイントの一つです。長く使われているということは、長期間発売中止になるような大きな問題が出ていない。つまり、安心感のある薬だということになります。

 

 

ベンザリンの副作用出現確率・頻度は?

 

ベンザリンの添付文書には、副作用の発生確率が記載されています。3,000件を超える事例から算出した発生確率ですから、信頼度も高いです。

 

病例

副作用発生確率

3,294例中664件

20.1%

参考ページ:ベンザリン添付文書

 

ベンザリンの副作用の発生率に関しては上記の通りです。確率としては20パーセント前後、分かりやすく言えば5名に1名前後という事になります(多少の誤差はあるかもしれませんが)。

 

さて、ではこの「20パーセント」という確率について別の医薬品と照らし合わせてみる事で考えていきましょう。

 

医薬品種別

副作用の確率

抗生物質(クラビット、クラリスなど)

約3~4%程度

解熱・鎮痛剤(NSAIDs:ロキソニン、ボルタレンなど)

約3~10%程度

向精神薬(アモバン、デパスなど)

約7~20%程度

 

ベンザリンの副作用の発生確率はメジャーな解熱鎮痛薬・抗生物質等よりもずっと高いです。ベンザリンと同様のカテゴリであるアモバン・デパス等の向精神薬と比べても上位の発生率ですから、ベンザリンの副作用は比較的強いと考えるべきでしょう。

 

ベンザリンの精神・骨格筋系症状【眠気、ふらつき、倦怠感など】

 

ベンザリンにおいては「精神・骨格筋系統の副作用」が最も出やすいです。

 

5%以上 0.1%~5%未満 0.1%未満
ふらつき,歩行失調、倦怠感等の筋緊張低下症状 眠気・残眠感,頭痛・頭重感,めまい,不安,見当識障害,興奮,不機嫌,不快感,多幸症等 -

 

ベンザリンの影響で、上記のような精神系統の副作用に襲われる場合があります。どれも確率は高くても数パーセントなので油断してしまうかもしれませんが、その「数パーセント」を、それぞれの症状ですべて足すと、いずれかの副作用に襲われる確率はそれなりに高いと言えるはずです。

 

ふらつき

7.0%

眠気

4.2%

倦怠感

3.6%

頭痛

1.8%

 

↑はベンザリンの副作用のうち、発症しやすい症状の上位4つですが、すべてが精神系・骨格筋系の副作用症状となっています。

 

ベンザリンの副作用の一つとしてふらつきが強く出ることがあります。これはベンザリンがもっている筋弛緩作用の影響によります。特に高齢者の方がベンザリンを使用している場合、ご家族の方は夜間の徘徊転倒には気をつけるようにしてください。一人暮らしの場合、発見が遅れれば命にかかわる事態もあります。

 

睡眠薬ですので外出前に飲むことはないと思いますが、もしもベンザリンを飲んだ後に急用で出かけなければならなくなった際には細心の注意を払う必要があります。電車に乗り込んだ後に眠り込んでしまうのならばまだしも、ホームで電車を待っている際にふらついたら、被害者は自分だけでは済まないかもしれません。

 

ベンザリンを飲んでどの程度のふらつきが出るのかは実際に飲んでみるまで分かりません。飲んでみてふらつきが大きいようでしたら、その点を医師に相談して薬を変えてもらった方がいいかもしれません。

 

また、「眠気」についても要注意です。副作用としてカウントするのは「翌日の朝以降に眠気を持ち越してしまう」事例なので、日中眠くてしょうがない、集中力がないといった事態が起こることになります。他にも、酔っ払ったようになったり、ろれつが回らない、不安感があふれてくる、イライラするなどの感情の変化も現れることがあります。もし精神症状が強く出るようなら、ベンザリンの服用量を減らしたほうがよいでしょう。

 

ベンザリンによる健忘症や夢遊病、認知症悪化のリスクアリ

 

ベンザリンの服用によって、健忘症・夢遊病、認知症などのリスクがあることもわかっています。

 

記憶障害は効果時間の短い睡眠薬で出やすい副作用ですが、ベンザリンでも出ない訳ではありません。もしも、出てしまった場合には事故など大きな事態になりやすいですからあらかじめ警戒しておくようにしましょう。

 

一過性前向性健忘 一過性前向性健忘症は、薬を飲んだ後の記憶が残らない症状のことを言います。出歩いた記憶がなくなったり、何かを食べても記憶が残らないことで太ってしまうことがあるようです。ベンゾアゼピン系の薬の中では比較的ポピュラーな副作用です。
夢遊病 一過性前向性健忘の症状の一種です。薬の効果で脳は眠っていても体だけ動くという状態です。この状態で外出してしまうと死亡事故につながることもあり大変危険な状態です。怪我をしたとして本人の記憶に残らないため発見が遅れるケースもあります。
認知症の悪化 高齢者が長期間使い続けることによりアルツハイマー型認知症の発症率が上がるという報告があります。短期間で使用をやめれば問題はありません。
せん妄 ベンザリンを長い期間連続服用した場合、せん妄の副作用が出やすくなります。脳機能の低下により、周囲とのコミュニケーションが取れなくなり暴れたり、言葉が通じない状態になりますのでこれも大変危険な副作用です。

 

上記のように記憶系の精神系統の副作用に襲われる場合もあります。ベンザリンの睡眠効果や抗不安効果がおかしな方向で発揮されてしまうと、このような副作用に襲われる事になります。不安感や不眠症が良くなりますが、せん妄や健忘に見舞われる場合もあり、なかなか完全に避ける事は難しいのです。

 

ベンザリンによる「せん妄」や「前向性健忘」という副作用については、特にお年を召している人ほど気をつけなければなりません。さらに言えば、ベンザリンのせいで認知症がエスカレートしてしまう恐れもあります。また、筋弛緩効果がありますから、フラフラ感に襲われて、その影響で転んで大怪我を負ってしまう恐れもあります。お年を召している人がベンザリンを使う時は特に注意するようにしましょう。

 

ベンザリンの効果時間が長すぎる

 

効果時間が長いのは一見いいことのように思えるかもしれませんが、そうではありません。

 

ベンザリンの半減期は約26時間ですから、これはつまりベンザリンを一度飲んだら26時間効き続けるということです。このようにベンザリンは効果時間が長いために翌朝まで持ち越す人もいます。朝起きてトイレに行く時に足元がふらついて転倒して骨折する、と言ったケースもしばしば見られます。この薬を飲むと、午前中は頭がぼんやりして仕事にならない、という人も結構多いです。作用時間の長いことが逆にマイナスに作用しているようです。

 

また、長い時間効いているということは副作用も長い時間出続けるということになります。効果時間の短い睡眠薬ならば数時間我慢すれば副作用は消えてしまうでしょう。しかし、ベンザリンの場合は26時間効きつづけることになります。もしも薬が体に合わなくて強い副作用が出てしまった場合、長い時間辛くて苦しい副作用に耐え続けなければならないのです。

 

これを避けるためには、最初の何度かは薬の量を少なめにして様子を見るといいでしょう。

ベンザリンの消化器系症状【口が渇く、吐き気、下痢など】

 

ベンザリンで消化器系統の副作用(腹痛、嘔吐感など)に見舞われる恐れもあります。

 

5%以上 0.1%~5%未満 0.1%未満
- 口渇,悪心・嘔吐,下痢等 -

頻度不明:食欲不振,便秘

 

ベンザリンが持つ「抗コリン効果」により、このような副作用に見舞われる場合があるのです。

 

「アセチルコリン(神経物質)」と「アセチルコリン受容体」の接触を避けさせる効果の事を「抗コリン効果」と呼びます。副交感神経の制御にはアセチルコリンが必要ですから、抗コリン効果が発揮させると副交感神経の動きが乱れて、消化器系統(大腸、小腸、食道、胃、口内など)がおかしくなりやすくなるのです。

 

口渇、嘔気(吐き気)、食欲不振、口内不快感、胃部不快感等

 

抗コリン効果においては↑のような症状が出ます。とくに「口内の乾燥」に襲われやすくなります。口の中の水分が少なくなる事で、細菌が増殖しやすくなり、歯槽膿漏や虫歯ができやすくなるので気を付けましょう。

 

ベンザリンのせいで消化器系統の副作用が出るか否かは、人によってかなりバラバラです。副作用が生じなければもちろん問題はありませんが、生じてしまうのであれば、他の医薬品を使うようにした方が良いかもしれません。ただ、抗コリン効果を持った向精神薬が大半ですから、他の医薬品を使うようにしてもあまり意味が無い場合が多いです。結局のところ、薬に頼らず睡眠できるようにしていくのがベストであると言えます。

 

ベンザリンの過敏症の症状【発疹・かゆみなど】

 

ベンザリンの副作用としては、肌の痒み・発疹等もあります。これは俗に言う「薬疹」「過敏症」であり、これに襲われた場合は二度とベンザリンを飲んではなりません。

 

頻度不明

発疹,そう痒感等

 

ベンザリンを飲む事で「薬疹」「過敏症」が発生し、いきなり皮膚が妙に痒くなったり、皮膚炎(じんましん、発疹など)に見舞われたりする事があるのです。

 

「過敏症」という名の通りベンザリンに過剰に反応してしまう事が原因であり、過敏症が起きるかどうかは飲む人の体質次第です。偶然ベンザリンで過敏症に見舞われてしまい、おかしな方向に免疫機能が働いて、皮膚炎などに見舞われる事になるのです。

 

実際、どんな薬であっても過敏症に見舞われる可能性はあります。ビタミン剤や風邪薬でさえ過敏症に見舞われる恐れもあります。ですから、ベンザリンで過敏症に見舞われたとしてもそれは全くおかしなことではありません。単なる「運」です。

 

そして繰り返しになりますが、ベンザリンが原因で過敏症が生じた場合は、以降ベンザリンを飲む事は「禁忌」となります。過敏症にならない事を期待して(普通に考えて2度続けては過敏症にならない確率の方が高いです)、別の医薬品にチェンジするようにしましょう。

 

ベンザリンその他の症状

 

ここまで解説したベンザリンの副作用以外にも、いくつかの症状が認められています。まとめて紹介します。

 

5%以上 0.1%~5%未満 0.1%未満
- 軽度の血圧低下、夜尿・頻尿,発熱等 徐脈傾向

頻度不明:覚醒遅延傾向

 

すでに解説しましたが、ベンザリンには「抗コリン作用」があります。この抗コリン作用によって、尿系統の副作用に見舞われる恐れもあります。具体的には「おしっこが出にくくなる」「おしっこの回数が増える」などの副作用に見舞われる恐れがあります。特に前者の場合は、水分が排出されにくくなるので、「むくみ」が出ることもあります。

 

また、循環器系の症状では、血圧の低下、除脈傾向などが見られるので、低血圧や心臓に疾患がある人はベンザリンの服用は慎重に行う必要があります。

 

ベンザリンを飲むと太ったりハゲたりするのって本当?

 

ベンザリンを飲んだからと言って太るというような副作用はありません。

 

ベンザリンを飲んで不安が収まり、食欲が出てきたから以前と比べて食事量が増えた結果、太ってしまったというケースはありうるでしょう。今までがストレスで体を壊して不健康に痩せていた状態と比較すれば、健康的な状態になったのは確かに「太った」ということになるかもしれません。ですがそれは薬の副作用ということにはなりません。

 

髪に関しても同じです。ベンザリンの副作用で抜けてしまうようなことはなく、むしろベンザリンの効果でよく眠れるようになった結果ストレスが軽減すれば、髪や地肌にとっていいことずくめです。むしろ、ストレス性の脱毛であれば改善してかみがはえてくることもあるでしょう。

 

ベンザリンによる重大な副作用

 

確率はとても低いものの、ベンザリンの服用によって命にかかわる重大な副作用が現れるケースもあります。事前にどんな症状がありえるかは知っておきましょう。

 

呼吸抑制・炭酸ガスナルコーシス

 

ベンザリンの中枢神経抑制作用により、呼吸抑制が起こる可能性があります。またもともと呼吸機能が低下している人だと「炭酸ガスナルコーシス」を起こすことがあります。

 

肝機能障害

 

代謝がされなければ体内にある薬は体内に残留し続けます。ベンザリンは肝臓から分泌される酵素によって行われます。肝臓はその分多く働き、疲れることになります。弱った肝臓にとってはこれは大仕事です。
この疲れは肝機能障害や黄疸という形で表に出てきます。もしもこういった副作用が出た場合にはすぐに医師に報告しましょう。ベンザリンを処方される前に肝臓が弱っていることがあらかじめわかっていれば医師に伝えておくようにしましょう。

 

刺激興奮,錯乱

 

低確率ではありますが、興奮状態になったり、錯乱したりといったことがありえます。

 

上記のような症状が現れた場合は、速やかにベンザリンの服用を中止し、医師の診察を受けるようにしましょう。

 

ベンザリンには依存症や断薬時の離脱症状はあるの?

 

依存症というのは、薬を使っていないと落ち着かない、耐えられないといった状態で薬を手放せないような状態におちいってしまったことをいいます。依存症は「体」と「心」それぞれがあり、体の依存症は、体内に薬の成分がないと健康を保てない状態、心の依存症は本来であれば薬はもう必要ないのに薬を使わなければ不安になってしまう状態のことです。

 

ベンザリンはあまり依存度は高くない

全ての睡眠薬は依存性を持っており、その中でもベンゾアゼピン系睡眠薬の依存度は高めです。ベンザリンはベンゾアゼピン系睡眠薬ですので本来であれば同じように依存度は高いはずなのですが、実際はそうでもありません。

 

それは何故でしょうか?その秘密は、ベンザリンの効果時間の長さにあります。実は睡眠薬の依存度は効果が強ければ強いほど、効果時間が短ければ短いほど依存度が高くなっているのです。

 

効果が高ければ高いほど、薬が効いているという実感があるため、薬が切れたらすぐ使う。短ければ短いほど何度も繰り返し使用してしまう。こういった事情で依存症になりやすくなっているのです。

 

その点ベンザリンの効果は比較的緩やかですし、26時間という長い効果時間がありますので繰り返し何度も使用するということはありません。

 

とはいえ、まったく気にせずに使っていればいずれ依存症になってしまうでしょう。あくまで睡眠薬は使い続ければ依存症になってしまう薬であり、その中では比較的依存症になりづらい部類だというだけです。

 

また、薬が体に合わずにあまり効果がないからたくさん飲んでしまったり、逆に効きすぎた結果通常より速いスピードで依存成形が進んでしまうこともあります。

 

薬が本来と違う効き目だと気付くのはなかなか難しいかもしれませんが、少しでも何かおかしいな? と思ったらすぐにかかりつけの病院に相談するようにしましょう。

 

ベンザリンの離脱症状は?

 

離脱症状とは今まで使っていた薬を突然やめたり、服用する量を減らしたりすると出てくる諸症状のことです。その薬への依存度が高ければ高いほど離脱症状はきついものとなります。
上の項目でベンザリンは依存症になりづらいという説明をしましたが、一度依存症になってしまえば離脱症状は出てきますので気をつけるようにしてください。

 

では、離脱症状は何故出てきてしまうのでしょうか?

 

ベンザリンを毎日のように服用した場合、体は少しづつ薬があって当たり前の状態になります。そうなってくるとベンザリンに体の機能の調整を手伝ってもらって当然というような状態になるのです。そして、ある日突然体の中からベンザリンがなくなった場合どうなるでしょう。体はびっくりしてしまい本来の機能をのバランスを崩してしまうのです。これが離脱症状と呼ばれている物です。

 

実際にはどんな症状が出てくるのでしょうか?

 

具体的な症状としては、以下のようなものがあります。どんな症状が出るかは人それぞれになります。

 

・けいれん
・ふるえ
・不眠
・不安
・幻覚
・妄想

 

これらの症状は服用量が多ければ多いほど、服用期間が長ければ長いほど強くなることが明らかになっています。
また、4か月以上の長期服用で離脱症状が現れやすくなっている、という報告もあります。

 

4か月過ぎたからといってあせって薬をやめてしまうと大きな離脱症状が出てしまい危険です。まずは薬を少し減らし、その状態でしばらく様子を見て離脱症状が出ないなら次の段階へ進むのが大事です。もしも薬を減らした際に離脱症状が出てしまったら、薬の量を一段階前に戻しても問題ありません。そうやって行ったり来たりしながら、いつか薬をやめることができればいいのです。

 

急激に薬の量を減らして離脱症状が出てしまい、その症状を抑えるために以前よりも多くの薬を飲んでしまっては意味がありません。むしろ体制が強くなったことで離脱症状がもっと苦しくなるかもしれません。

 

ベンザリンは依存度が大きくない薬ではありますが、まったくないわけではありません。服用開始時にもやめる時にも、必ず医師と二人三脚でやっていくことを心掛けて下さい。自分はこの薬に関しては詳しいから問題ない、などと勝手に薬の量を増減させるのはとても危険です。必ず医師と相談して長期計画で克服していくのが何よりも大切です。