ベンザリンの中途・早朝覚醒への効果とは?

ベンザリンの効果や服用方法の注意点について

 

「睡眠剤」であるベンザリンは不眠症等に効きますが、睡眠剤は効果発現時間等を考慮した上で使わないときちんと効いてくれない場合もあるので、前もってしっかりと覚えておきましょう。
ベンザリンはどのように使うと効きやすいのでしょうか。ここで解説していきまう。

 

 

ベンザリンはこんな人に役だつ

中間型の睡眠薬で、寝つきの良くない人、いったん寝付いても夜中や早朝に目が覚める人やぐっすり眠った感じがしない人に向いています。速やかに効いて、長時間作用が続く点が大きな特徴です。翌朝まで穏やかに作用しますので、早朝に目が覚める人や夜中に目が覚める人、熟睡感を得たい人にも適しています。

 

どのようなタイプの不眠症にもオールマイティーに対応できますので、どれがいいか判らない人の、「とりあえず」といった感じにも対応できます。また、抗不安作用もありますので、気分をほぐして緊張を鎮める効果もあります。

 

もう50年以上にわたって使われ続けている睡眠薬ですので、知名度も高く安全性も高いこともいい点でしょう。新しい薬では未知の副作用におびえることもあるでしょう。しかし、ベンザリンに関してはそういったことはありません。いい点も悪い点も研究されつくしているので、そういった意味では安心して使用することができます。なお、ベンザリンの副作用の詳細については  →ベンザリン副作用【断薬をするために必要なコト】 を参考にしてください。

 

ベンザリンの効果が出る確率・割合は?

 

まずは、気掛かりな「ベンザリンが作用を発揮する確率」をチェックしておきましょう。ベンザリンの「臨床試験成績」が添付文書に記載されているので確認してみましょう。

 

症状

有効率

入眠時間

76.5%(1175/1535)

睡眠時間

85.0%(951/1119)

参考ページ:ベンザリン添付文書

 

上記の通り、ベンザリンは7~8割前後の確率で効きます。これは、睡眠剤の内でもかなり優秀な数字です。

 

ただし、用法用量を守らないと効くものも効かなくなってしまいます。ここからは、ベンザリンを正しい使い方を紹介していきましょう。

 

ベンザリンの効果が出るしくみ(作用機序)は?

 

まずは、ベンザリンが「なぜ効くのか・体内でどのような働き(作用機序)があって効くのか」という事を見ていきましょう。

 

人間にはサーカディアンリズム(体内時計)があり「朝起きて、昼活動して、夜に眠気を感じる」という仕組みになっています。つまりは、脳が昼にはしっかり起きていて、夜になるにつれて段々落ちついていくという事です。しかし、睡眠障害や不眠症に陥ると、夜になっても昼間と同レベルで脳が活動してしまって、入眠し辛くなったり、寝てもすぐに目が覚めてしまったりするようになります。

 

 

そんん時にはベンザリンが有効です。ベンザリンには、Clイオン(Cl-)をベンゾジアゼピン受容体が受容しやすくさせる作用があります(上図参照)。

 

脳を落ち着かせ眠くさせる働きをClイオンは持っています。ベンザリンを飲むと眠くなる理由はここにあるのです。

 

 

それから、ベンゾジアゼピン受容体の区分についても把握しておきましょう。

 

オメガ1受容体 睡眠作用を持つ
オメガ2受容体 抗不安作用・筋弛緩作用を持つ

(ω3受容体も存在するが、精神面とは関係が薄いので省略)

 

ベンゾジアゼピン受容体には上記の通り2タイプあります。オメガ2受容体が元気になると筋弛緩が起きたり不安感が和らいだりします。そして、オメガ1受容体が元気になると眠くなります。
ちなみに、ベンゾジアゼピン系統の医薬品には抗不安剤も存在しています。同じベンゾ系薬品でも、主にオメガ2にアプローチするものを「抗不安剤(デパスなど)」、オメガ1に主にアプローチするものを「睡眠剤」と呼んでいますが、本来の作用機序には大差はありません。

 

そして、ベンザリンはオメガ1に主にアプローチしますが、オメガ2にも少しはアプローチしますので、筋弛緩・抗不安効果も有しているという事になります。つまりは、オメガ1関連の副作用も、オメガ2関連の副作用も両方生じ得るという事です。ですから、ベンザリンは少々副作用が出やすい睡眠剤であると言えるかもしれません。

 

ベンザリンの効果発現時間は?

 

ベンザリンを有効活用するために、ベンザリンの「持続時間」「効果発現時間」も知っておきましょう。

 

発現時間 60分~90分
持続時間 約24時間

 

ベンザリンの持続時間、効果発現時間は上記の通りです。人それぞれではあるものの、これがベンザリンの場合の平均値です。

 

睡眠剤の中ではベンザリンの発現時間はやや長い部類です。そして、持続時間も24時間程度あって、比較的長い方です。ですから、ベンザリンを飲めばかなり長時間効き続けてくれるはずです。

 

一言で言えばベンザリンは「効き始めるまでにやや時間がかかるが、そのぶん効き目が長く継続する」という事になります。

 

→ベンザリンの血中濃度最大時間・半減期はどのくらい?

 

ベンザリンはどんな症状に効くの?

 

さて、睡眠剤であるベンザリンですが、どのようなケースであればベンザリンの効果が役に立ちやすいと言えるのでしょうか。

 

中途覚醒・早朝覚醒

 

眠ってから3時間前後で目が覚めてしまう症状を指して、早期(中途)覚醒と呼びます。変な時間に起きてしまって、再び寝る事も叶わなくなるので、昼間に異常な眠気に襲われる事になってしまいます。

 

「浅い睡眠」になってしまっていると、早期(中途)覚醒しやすくなってしまいます。ヒトの睡眠には「浅い」ものと「深い」ものがあり、早期(中途)覚醒の傾向がある人の場合は、浅い眠りのタイミングで目が覚めてしまいやすくなるのです。

 

次のような方は、早期(中途覚醒)に見舞われやすくなります。

 

  1. 年配の人
  2.  

    老化が進むたびに睡眠が全体的に浅くなり、変な時間に目が覚めやすくなります。

     

  3. 生活習慣が崩れている人
  4.  

    生活習慣が崩れていると睡眠が全体的に浅くなり、変なタイミングで目が覚めやすくなります。アルコールの摂取量が多い人は特に目が覚めやすくなるので、お酒はほどほどにしておきましょう。

     

  5. 痛みを伴う症状を抱えている人
  6.  

    肩こり・腰痛等を抱えている人の場合、その痛みが眠っている最中に酷くなって、目が覚めてしまう場合があります。

     

  7. 睡眠時無呼吸症候群で悩んでいる人
  8.  

    眠っている時に呼吸がストップして、目が覚めてしまう場合があります。

 

色々な区分がある早期(中途)覚醒ですが、「眠りの質の低下」が要因として共通している場合が大半です。

 

さて、そもそも早期(中途)覚醒にベンザリンが効く理由は何なのでしょうか?

 

医薬品名

持続時間

マイスリー

3~4時間

アモバン

2~3時間

ベンザリン

約24時間

 

早期(中途)覚醒の対策をしたいのであれば、睡眠剤の「持続時間」に目を向けるようにしましょう。メジャーな睡眠剤の持続時間は上記の通りですが、「アモバン」「マイスリー」等は3時間~4時間くらいしか効き目がキープされません。そのため、アモバンやマイスリーを飲んでも眠っている最中に効き目が無くなって、結局変な時間に目が覚めてしまう可能性が高いです。

 

他方、ベンザリンは20時間前後も効きますから、早期(中途)覚醒の対策のためには十全です。睡眠中に効き目がなくなる事はまずなく、きちんと早期(中途)覚醒のケアができるはずです。

 

ベンザリンが効きにくい、効果を発揮しないケースは?

 

早期(中途)覚醒は、ベンザリンを正しく使う事で十全にケアできるはずです。ただ、場合によっては「ベンザリンの作用が発揮されない、されにくい事もあるので把握しておきましょう。

 

入眠障害(寝つきが悪い)

 

床について目をつむり、0.5時間以上経過しても入眠できない症状を指して「入眠障害」と呼びます。

 

そして、入眠障害をケアする作用もベンザリンにはあります。ただし、マイスリーやアモバン等、入眠障害に特化した睡眠剤に比べれば、入眠障害への適正は低いです。

 

医薬品名

入眠障害

中途・早朝覚醒

ベンザリン

アモバン

×

マイスリー

×

 

睡眠剤の大体の性質は上記の通りです。繰り返しになりますが「入眠障害」についてはマイスリーやアモバンが向いていて、ベンザリンはそれほどではありません。ですが、「早期(中途)覚醒」については、ベンザリンが向いていて、マイスリーやアモバンはそれほどではありません。

 

ですから、入眠障害をピンポイントでケアしたいのであれば、効き目が極めて早く発揮されるマイスリーやアモバンを用いるようにしましょう。そして、入眠障害に加えて早期(中途覚醒)もケアしたいのであれば、ベンザリンを用いるようにしましょう。

 

熟眠障害(寝た気がしない)

 

「睡眠を取ったのに昼間眠気に襲われる」「長い時間眠ったのに疲れが取れない」などの症状の事を「熟眠障害」と言います。

 

大抵の「熟眠障害」では、眠りが浅いものです。眠りが浅くてさらに目が覚めてしまうのであれば、既に紹介している早期(中途)覚醒に該当しますが、熟眠障害の場合は目が覚める事はなく一応朝まで眠り続ける事はできます。しかしその眠りが浅いため、目が覚めても大して疲れが取れてはいないのです。

 

多くの睡眠剤には脳の働きを落ち着かせて、睡眠状態をキープさせる効果があります。ですが、眠りの質を明確に改善できる睡眠剤は存在しないと見られています。ベンザリンに関してもそれは同様であり「朝目覚めてしっかり疲れが取れている」とう状態を得る事はあまりできません(ただし、説明してきた通り早期(中途)覚醒のケアはしてくれます)。

 

それから、ベンザリンの場合は20時間前後も持続時間がありますから、6時間睡眠の場合で、起きた段階でまだ14時間前後効き目が残存している事になります。きちんと睡眠が確保できていれば、それなりに軽くなりますが、それでも昼間の「眠さ」という副作用を完全に回避する事はできません。

 

そういった観点で考えても、使用者にもよりますが「熟睡感」を感じ難いというのがベンザリンの欠点だと言えると思います。

 

まとめ

 

再三申し上げている通り、ベンザリンは20時間前後も効き続けてくれますので、早期(中途)覚醒に特に有効です。また、すぐ効いてくれますから、入眠障害にもそれなりに効きます。

 

ですが入眠障害だけをピンポイントでケアしたいのであれば、それに特化した「マイスリー」や「アモバン」を用いる事を推奨します。

 

そして、先ほど説明した「熟眠障害」のついては、そもそも睡眠剤全般が向いていません。もちろんベンザリンに関しても同様です。なぜなら、熟眠障害を改善したいのであれば、睡眠の質を改善するしかなく、睡眠剤には眠りに付きやすくしたり、目が覚めにくくしたりする作用はあっても、睡眠の質を高める作用はあまりないからです。
熟眠障害を改善したいのであれば、サプリメントを使ったり、生活習慣を整えたりしていくようにしましょう。