ベンザリンには併用禁忌・注意薬がある?

ベンザリンの併用禁忌・注意薬を知っておこう

 

ベンザリンは副作用があまり大きくないことも関係して、併用禁忌薬(同時使用してはいけない薬)がない為、使い勝手がとてもいい薬です。しかし、併用禁忌薬がないからといって「注意薬」がないわけではありません。禁忌ルールや併用注意薬には気をつける必要がありますので、どんなものがあるのか確認しておきましょう。

 

 

ベンザリン禁忌のルール

 

ベンザリンに「併用禁忌」はありません。ただ、「このような人はベンザリンを使用してはいけない」というルール、「禁忌事項」についてまずは紹介していきます。

 

  1. 本剤に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 急性狭隅角緑内障のある患者
  3. 重症筋無力症の患者
  4. 肺性心,肺気腫,気管支喘息及び脳血管障害の急性期等で呼吸機能が高度に低下している場合(原則禁忌)

 

本剤に対し過敏症の既往歴のある患者

 

今までにベンザリンを使用したことでアレルギー症状が出てしまったことのある方は使用してはいけません。

 

アレルギーは基本的に回数を重ねるほど症状が重くなります。一回だけだし症状も軽かったから大丈夫、などと油断はしないようにしましょう。前回よりも大きい症状が出る可能性は高いですので今度は重症化するかもしれません。

 

急性狭隅角緑内障のある患者

 

急性狭隅角緑内障の患者さんには眼圧が上昇する症状が出る場合があります。ベンザリンは眼圧を上げる効果がありますので、この二つが重なるととても危険です。失明の危険性すらありますので、服用はしないようにして下さい。

 

重症筋無力症の患者

 

こちらも同じような理由です。重症筋無力症の患者さんは全身の筋肉が弛緩する症状が出ます。ベンザリンは筋弛緩作用を持っていますので、症状の悪化に拍車をかけることになってしまうのです。

 

原則禁忌事項

 

呼吸器系の病気を持っている場合、ベンザリンを服用すると大きな副作用が出てしまい場合があります。

 

ですから原則的には使用禁忌となっていますが、副作用のリスクよりもベンザリンを使用したメリットの方が大きい場合には慎重に投与する前提であれば服用は可能です。

 

ベンザリンの併用注意薬

 

ベンザリンには併用禁忌薬はありませんが、併用する際には注意が必要な「併用注意薬」がありますのでそちらを紹介していきます。

 

中枢神経抑制剤(アモバン、マイスリー、デパス、レキソタンなど)

 

ベンザリンは「ベンゾジアゼピン系薬」になるので、中枢神経抑制作用があります。そのため、同じく中枢神経抑制作用がある薬品と併用してしまうと、

 

眠気、意識障害、血圧低下、運動失調

 

上記の症状を増強してしまう恐れがあります。また、依存性・耐性形成の進行を早めることもあり、離脱症状が強くなったり、断薬しにくくなるリスクもあります。

 

ベンゾジアゼピン系 ベンザリン、デパス、レンドルミン、ハルシオン、ユーロジン、ソラナックス、ワイパックス、メイラックス、ロヒプノール(サイレース) など
非ベンゾジアゼピン系 マイスリー、アモバン、ルネスタ
バルビツール酸系 ベゲタミン、ラボナなど
抗ヒスタミン薬 アタラックス、ポララミン、アレジオン、アレグラ、ザイザル、クラリチン など
フェノチアジン誘導体 メチレンブルー、プロマジン、フルフェナジン など

 

↑は中枢神経抑制剤の一例ですが、かなりたくさん種類があることが見て取れます。ベンザリン、デパスやレキソタンといったベンゾジアゼピン系だけでなく、マイスリー・アモバンなども併用注意に入ります。

 

また、見落としがちなのが抗ヒスタミン薬です。抗ヒスタミン薬は花粉症などのアレルギー症状の治療に用いられます。そのため利用者も多く、市販もされているので安易に併用しがちです。しかし、中枢神経抑制効果があるので、ベンザリンと併用すると異様な眠気に襲われたりなどのトラブルがありえます。

 

「デパスと一緒に処方されてるけど?」なんて人もいるでしょう。それは、医師が必要と判断したうえで処方していることになるので問題ありません。避けたいのは、いろいろな病院をはしごして複数の中枢神経抑制薬を手に入れたり、自己判断で併用するケースです。

 

モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)

パーキンソン病治療薬(エフピーOD2.5錠など)

 

ベンザリンと同じく中枢神経をリラックスさせる作用を持っています。その為、併用してしまうと、中枢神経抑制効果が倍増してしまうので気をつけましょう。どんな薬の場合でも、似たような効果を持つ薬の併用は効果が強くなりすぎてしまうために推奨されていません。

 

また、この薬はパーキンソン病治療目的で使われることが多いのですので、高齢者が服用することが多くなると思います。飲み合わせといわれてもよくわからない、という場合も多いでしょうから周りの方がケアしてあげられるような状態にすることが大切です。

 

シメチジン

 

 

ベンザリンに限った話ではないのですが、体に入ってきた薬は代謝されることでやがて体の外に排出されていきます。ベンザリンを代謝する酵素が「CYP3A4」なのですが、その働きを阻害(邪魔)するのがCYP3A4阻害剤です。

 

代謝を邪魔されるとなかなか体外に出ていかなかったり、血中濃度が上がったり、依存や耐性形成が早くなってしまうなど多くのリスクがあります。

 

CYP3A4阻害剤の中でも、シメチジンは明確に併用注意に指定されています。胃潰瘍治療等で使用する為、ベンザリンと使用目的がまったく違います。それもあって同時に処方されてしまう危険性も高い薬になっています。複数の病院に通っている場合は、担当医師に飲み合わせに関する確認を徹底しましょう。

 

また、シメチジンが入った市販薬も多数あります。なので、気付かないうちに併用しているケースはよくあります。シメチジンは「H2ブロッカー」なので、同じH2ブロッカーで、併用注意指定されていない「ガスター」を買う方が無難でしょう。

 

 

CYP3A4ってなに?

 

CYP3A4は体内に存在している代謝酵素と呼ばれる酵素です。

 

代謝とは、体の中に入ってきた成分を水に溶けやすくする作業のことをいいます。

 

薬は通常では脂に溶けやすい状態ですから、そのままではずっと体内に残留してしまいます。そこで、水に溶けやすい状態にかえてしまうことで体の外に出やすくします。我々の体はほとんどが水でできていますので、水に溶けた状態の方がスムーズに体の外に尿として流れ出て行くのです。

 

このように代謝を行うのが代謝酵素です。代謝酵素にはあらかじめ担当する成分が決められており、その中でベンザリンを担当するのがCYP3A4です。

 

シメチジンを飲むとCYP3A4の働きが邪魔されてしまうので、代謝が思うようにされずに体内のベンザリンの効果が強まってしまうのです。

 

よく利用される医薬品との飲み合わせをチェック!

 

ベンザリンに関する併用注意薬品については紹介した通りです。ここでは、それに加えてベンザリンとメジャーな医薬品の併用に関して触れておきます。何らかの医薬品を使っている方は、ベンザリンとの併用について特に良く確認するようにして下さい。

 

風邪薬(ムコダイン・パブロン・ルルなど)

 

まずは、「風邪薬」とベンザリンの相性についてです。

 

医薬品名

効果

アスベリン

咳止め

アストミン

咳止め

フスコデ

咳止め

メジコン

咳止め

レスプレン

咳止め

アンブロキソール

喉の炎症を鎮める

エンピナース

喉の炎症を鎮める

 

ムコダイン

咳止め、痰切り、鼻づまり防止

 

有名な風邪薬は上記の通りです。特に、ムコダインはかなりオールマイティに働いてくれるので重宝されています。

 

そして、風邪薬とベンザリンは原則一緒に飲んでOKです。ただし、副作用として「眠気」にだけは気を付けるようにしましょう。ドクターに「ベンザリンを用いています」と告げておけば、最善の対応を取ってくれるはずです。

 

むしろドクターが関わらない「市販の風邪薬を自分で選んで用いるケース」の方が注意が必要です。ルルやパブロンを用いている方もたくさんいると思いますが、これらの市販の風邪薬には眠気を感じさせる(鼻水止めの副作用として)成分が含まれている事が多く、ベンザリンと効き目が被って眠気がかなり酷くなってしまう恐れがあります。
休日など一日中眠っていられる場合は一緒に飲むのも良いかもしれませんが、そうでないのであればあえて一緒に飲む事はしないようにしましょう。

 

ちなみに「抗ヒスタミン成分」の影響で眠気が生まれます。抗ヒスタミン成分には、中枢神経の動きを鈍らせる効果があり、ベンザリンと一緒に飲む事で眠気等の症状が強くなる恐れがあります。ちなみに「マレイン酸カルビノキサミン」や「d-クロルフェニラミン」が具体名称となりますので、外箱などの成分欄をチェックして、抗ヒスタミン成分が含まれているのであれば、その薬は使わないようにしましょう。と言いますか、薬局の店員に聞いた方が早いですし確実です。

 

胃腸薬(ムコスタ・ガスター・ビオフェルミンなど)

 

次は、胃腸薬とベンザリンの併用に関してです。

 

ムコスタ、ブスコバン、ガスター、タケプロン、パリエット、ネキシウム、ビオフェルミン など

 

主な胃腸薬としては上記のようなものがあります。

 

そして、基本的にベンザリンと一緒に摂取して構いません。むしろ、ベンザリンの影響で胃にダメージが及んでいる際は、胃腸薬でそれをケアできる場合が多いので、むしろ一緒に飲む事を推奨される場合もあります。

 

ただし、胃腸薬にも区分がありますからきちんと厳選するようにしましょう。状態にそぐわない胃腸薬を使ってしまうと、かえって気持ち悪くなったり、体調が悪くなったりする恐れがあります。また、すでに説明したように、「シメチジン」に関してはベンザリンとは併用注意です。これに関しても、薬局の店員に聞く事をおすすめします。

 

解熱鎮痛剤(ロキソニン・ボルタレン・バファリンなど)

 

ベンザリンと痛み止め・解熱薬の組み合わせについてです。特に良く使われているのがNSAIDsという区分の医薬品です。

 

ロキソニン、ボルタレン、イブプロフェン、アスピリン、ポンタール、インドメタシン

 

メジャーなNSAIDsは上記の通りです。見覚えのあるものもあるかもしれませんね。併用についてですが、ベンザリンと一緒に摂取して構いませんし、それぞれの効き目が下がるというリスクもありません。
ただ、あえて一緒に摂取するべきではありません。なぜなら、ベンザリンにもNSAIDsにも消化器系統の副作用があるからです。

 

→ベンザリンの消化器系副作用について

 

ベンザリンに関する消化器系統の副作用については上記で紹介しています。そして、NSAIDs(ボルタレン、ロキソニン等)を飲むと胃が荒れ易いです。

 

また、NSAIDsによる胃の荒れ方とベンザリンによる胃の荒れ方は、それぞれ仕組みが異なります。つまり、同タイミングで生じる場合があり、そうなれば胃が酷く荒れる事になってしまいます。

 

ですから一緒に飲むのであれば、摂取分量と摂取方法を厳守しましょう(どの医薬品を飲むにしても大事な事ではありますが)。お腹が空いている折にNSAIDsを摂取すると(ロキソニン等)、腸や胃が荒れやすくなるので、絶対にご飯を食べ終えてから摂取するようにしましょう。

 

それでも消化器系統の副作用が酷く出るのであれば、胃腸薬をプラスしてみるのも良いかもしれません。薬局やドクターに確認を取って、一番適した胃腸薬を処方してもらいましょう。

 

その他の医薬品(ピル、抗生物質、ワーファリンなど)

 

次に、ベンザリンとピル、ベンザリンと抗生物質の併用に関してチェックしていきましょう。

 

種別

代表医薬品

概要

ピル

トリキュラー、ダイアン、ヤスミン、アイピル

併用はOK。ただし消化器系の副作用の重複に注意

抗生物質

フロモックス、メイアクト、クラビット、ジスロマック

併用はOK。ただし消化器系の副作用の重複に注意

ワーファリン

ワルファリン

併用はOK。

 

上記はベンザリンとの組み合わせに関するリストです。いずれも一緒に摂取しても構わないわけですが、消化器系統の副作用が強く出る恐れがあるという事は知っておきましょう。

 

飲み合わせの悪い飲み物・食品はある?

 

ベンザリンの飲み合わせの悪い食べ物、飲み物にはどんなものがあるのでしょうか。

アルコール

アルコールとベンザリンを併用して服用すると、双方への依存へつながる恐れがあります。また、副作用である睡眠作用が強くなり、翌日にふらつき、物忘れ、眠気などの影響が出てくることもあるので、車を運転するときは特に注意してください。

 

>>アルコール併用はダメ! お酒とは相性が悪い

 

鼻炎薬などの市販薬

市販の風邪薬や鼻炎薬には、眠くなる成分が入っているものもあります。睡眠効果が強くなるかもしれないので、これも注意したほうがよいでしょう。

 

サプリメント、その他

神経ホルモンのひとつに、人の体内時計を正常に戻す働きをしてくれる「メラトニン」という物質があります。「メラトニン」のサプリもたくさん販売されていますが。このサプリにはホルモン剤が含まれている物も多く流通しており、副作用の点からも併用は避けたほうがいいでしょう。ハーブ系のサプリメントも注意が必要です。うつ病による不安、イライラを抑える効果のあるハーブを併用すると、薬効が増幅される恐れもあるようです。また、日本茶やコーヒーなどは、カフェインが含まれているため、逆に薬効を弱めるかもしれません。

 

いずれにしろ、ベンザリンを服用する際には、嗜好品、サプリメント、服用中の薬をきちんとお医者さんに伝えておくことが大切なのです。

 

併用注意・飲み合わせまとめ

 

まずはじめに、ベンザリンの「併用禁忌」はありません。そのため、誤って併用禁忌薬を併用してしまった!という事態にはなりません。

 

とはいえ、併用注意はいくつかあるので押さえておく必要があります。

 

  1. 中枢神経抑制剤
  2. モノアミン酸化酵素阻害剤
  3. シメチジン

 

↑の医薬品は、安易に併用するのは避けたほうがよいでしょう。特にシメチジンは市販薬もあるので注意が必要です。

 

また、よく利用される医薬品との併用については、

 

  1. 眠気、ふらつき、めまい
  2. 消化器系の副作用(吐き気、胃痛など)

 

上記の症状が強くなる恐れがあるので、あらかじめ留意しておきましょう。

 

補足ですが、全ての医薬品の代謝は腎臓や肝臓で実行されます。ですから、何にせよ医薬品の摂取量が多くなれば、腎臓や肝臓へのダメージが大きくなります。

 

ベンザリンを含めどんな医薬品を使う場合でも、腎臓や肝臓に負荷を掛けているという事は忘れないようにしましょう。健康チェック等で腎臓や肝臓などに問題が発覚した際は、併用を継続しても大丈夫なのか否かドクターに確認を取るようにしましょう。